理学療法士がまとめたノート

統計学備忘録(R言語のメモ)

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ベータ分布

完全独習 ベイズ統計学入門

完全独習 ベイズ統計学入門


この本を参考にベータ分布を勉強します.
ベータ分布:ベータ関数により導かれる分布. ベイズ推定の際に事前分布として利用します.

f(x)=\frac{x^{\alpha-1}(1-x)^{\beta-1}}{B(\alpha,\beta)} \ \ \  \ \ (0<x<1)

ベータ関数\ \ \ \ B(\alpha,\beta)=\int _0 ^1 x^{\alpha-1}(1-x)^{\beta-1} dt

期待値 \ \ \ \frac{\alpha}{\alpha+\beta}

分散\ \ \ \ \frac{\alpha \beta}{(\alpha+\beta)^{2}(\alpha+\beta+1)}

グラフを描いてみます
ベータを1に固定してαのみ大きくすると、1より大きくなると指数関数となります.

curve(dbeta(x,1,1),from = 0,to=1,ylim=c(0,5))     #黒
par(new=T)
curve(dbeta(x,2,1),from = 0,to=1,ylim=c(0,5),col=2)    #赤
par(new=T)
curve(dbeta(x,3,1),from = 0,to=1,ylim=c(0,5),col=3)    #緑
par(new=T)
curve(dbeta(x,4,1),from = 0,to=1,ylim=c(0,5),col=4)    #青
f:id:yoshida931:20180326140755p:plain:w400

αとβをランダムに

curve(dbeta(x,1,1),from = 0,to=1,ylim=c(0,3))    #黒
par(new=T)
curve(dbeta(x,2,2),from = 0,to=1,ylim=c(0,3),col=2)   #赤
par(new=T)
curve(dbeta(x,3,3),from = 0,to=1,ylim=c(0,3),col=3)    #緑
par(new=T)
curve(dbeta(x,5,3),from = 0,to=1,ylim=c(0,3),col=4)    #青
f:id:yoshida931:20180326141950p:plain:w400

ベータ分布の使用例1

以下は自作(架空)の問題です.
問)ある疾患の患者群で10中で3人が転倒した場合の、転倒確率をベータ分布によるベイズ統計で推測せよ.
10人中3人なので\frac{3}{10}といのが直観的な確率になるのですが、ベイズ推定では次のように考えることができます. まず転倒する確率をx、転倒しない確率を1-xとします.転倒する確率(x)+転倒しない確率(1-x)=1.xは連続無限に存在するので、確率密度となります(0≦x≦1).ここで、xの事前分布設定のために、xがどの値でも「同様に確からしい」と仮定します.つまりxの事前分布を下図のような一様分布と仮定します.

y=1\ \ \ \ (0 \leqq x \leqq1)

f:id:yoshida931:20180326145458p:plain:w300

「転倒した患者3名、転倒しなかった患者7名」という結果になる確率はP=x^{3} (1-x)^{7} となり、この数式は\alpha=4, \beta=8のベータ分布です.
したがって転倒確率は \ \ \ \frac{\alpha}{\alpha+\beta}=\frac{4}{12}=\frac{1}{3}となります.

ベータ分布の使用例2

A君は身体に障害をもっており、ただいま装具装着の練習中です.30秒以内で装着できる成功確率をxとして考えてみます. 今日は8回練習して、5回成功しました.A君の装具装着の成功率はどれくらいでしょうか? ベータ分布の使用例1と同じように、xの事前分布設定のために、xがどの値でも「同様に確からしい」と考えて一様分布を仮定します.
y=1\ \ \ \ (0 \leqq x \leqq1)
確率は \ \ \ \frac{\alpha}{\alpha+\beta}=\frac{6}{10}=\frac{3}{5}となります.現在のA君の装具装着確率は以下のようになります.

curve(dbeta(x,6,4),from = 0,to=1,ylim=c(0,3))
f:id:yoshida931:20180329150808p:plain:w450

事前分布が同様に確からしいということもありえないので、A君の今日の成功確率を事前分布として確率分布を推定してみます.ここでは正規化定数となるベータ関数を無視して確率分布のみを求めてみます.
P( 現状の成功確率 , 成功確率 ) = P(x) × 事前分布 = x (x^{5}) (1-x)^{3}=x^{6}(1-x)^{3}
\alpha=7, \beta=4となり以下のような確率分布(赤)となります.

curve(dbeta(x,6,4),from = 0,to=1,ylim=c(0,3))
par(new=T)
curve(dbeta(x,7,4),from = 0,to=1,ylim=c(0,3),col=2)
f:id:yoshida931:20180329154806p:plain:w450

感想)理学療法士が適切な事前分布を設定して、子どもたちの可能性を探るって重要なことだと思いました.