リスク比の信頼区間
ポイント:比の対数をとり、正規近似する
リスク比は疫学における指標の1つです.一般的には相対危険度(相対リスク,relative risk,RR)として利用されています.
xm <- matrix(c("a","b","c","d"), nrow=2, byrow=T) name <- list("暴露"=c("あり(A群)","なし(B群)"),"疾病"=c("あり","なし")) dimnames(xm)<-name xm 疾病 暴露 あり なし あり(A群) "a" "b" なし(B群) "c" "d"
前提
比は分母が小さくなると、数値が大きくなりすぎて正規近似の精度が悪くなります.比の対数であれば高い精度で正規近似することが可能になります. したがって、比の対数を考えていくことになります.
定義と言葉の整理
標本比率 の母比率を
標本比率 の母比率を
,
リスク差(過剰絶対リスク) =
リスク比 RR = A群のB群における疾病の頻度の比
過剰リスク(過剰相対リスク) =
オッズ比=
リスク比の信頼区間
比の対数を考えていきます.
標本のリスク比=標本リスク比( =)、母集団のリスク比を母リスク比( =)とします.
標本リスク比の対数 、 母リスク比の対数
正規近似で信頼区間を求めていくためには、以下の式が必要になります.
したがって、以下の式が95%信頼区間を求める式になります
以下、 とします
より
デルタ法(delta method)によって近似的に求めたもの
「矢野様より指摘いただき、修正しております」
#Rで95%信頼区間を求めてみます rr <- a*(c+d)/(a+b)/c # = (a/(a+b))/(c/(c+d)) exp(log(rr)+qnorm ( c(0.025,0.975) )*sqrt(b/a/(a+b)+d/c/(c+d))) または exp(log(rr)+c(-1,1)*qnorm (0.975)*sqrt(b/a/(a+b)+d/c/(c+d))) 例) クロス表イメージ matrix(c(76, 399, 129, 332),2,byrow=T) [,1] [,2] [1,] 76 399 [2,] 129 332 a<-76; b<-399; c<-129; d<-332 #参考web2より ( rr <- a*(c+d)/(a+b)/c ) #リスク比 [1] 0.5717829 rr*exp(qnorm ( c(0.025,0.975) )*sqrt(b/a/(a+b)+d/c/(c+d))) [1] 0.4440632 0.7362370 または rr*exp(c(-1,1)*qnorm (0.975)*sqrt(b/a/(a+b)+d/c/(c+d))) [1] 0.4440632 0.7362370
参考web1 R -- 相対危険度(対応のない場合)
参考web2 R による統計処理
参考文献)柳川 堯 ; 観察データの多変量解析―疫学データの因果分析,近代科学社 ,2016